米国株の中で、2026年時点でも安定性や利回りの面で注目されている高配当株を10銘柄、セクターや特徴を交えてご紹介します。
米国株は「連続増配(毎年配当を増やし続ける)」の文化が強く、50年以上増配している「配当王」や25年以上の「配当貴族」と呼ばれる銘柄が数多く存在するのが魅力です。
1. 定番の「配当王・配当貴族」銘柄(安定重視)
- コカ・コーラ (KO)
- 60年以上の連続増配を誇る「配当王」の筆頭で、世界200カ国以上で展開する圧倒的なブランド力が収益の源泉です。
- 新興国市場での成長や非炭酸飲料へのシフトも成功しており、景気後退局面でも売上が落ちにくい強みがあります。
- 2026年も安定した四半期配当を継続しており、長期保有で「配当を育てたい」投資家にとっての定番銘柄です。
- プロクター・アンド・ギャンブル (PG)
- 生活必需品セクターの巨人であり、インフレ局面でも製品価格を上げることで利益を確保できる「価格決定権」を持っています。
- 65年を超える増配実績があり、派手さはないものの、市場が不安定な時期の守りの資産として非常に優秀です。
- 安定したフリーキャッシュフローを背景に、配当だけでなく自社株買いにも積極的で株主還元姿勢が極めて高いです。
- ジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ)
- 製薬と医療機器に特化し、世界で数少ない「AAA」の格付け(米国政府より高い信用度)を維持する超優良財務の企業です。
- 60年以上の連続増配を継続中。ヘルスケア需要は景気に左右されないため、ポートフォリオの安定剤として機能します。
- 2026年現在も、強固なパイプライン(新薬候補)と MedTech 部門の成長により、持続的な配当支払能力を維持しています。
2. 高利回り・バリュー銘柄(インカム重視)
- アルトリア・グループ (MO)
- 米国内のタバコ販売を独占的に展開。製品の依存性と価格引き上げにより、驚異的な利益率とキャッシュ創出力を維持しています。
- 配当利回りが6〜8%前後と非常に高く、電子タバコや加熱式タバコなどの次世代製品への移行が収益の次の柱です。
- 「配当王」の一角でもあり、株価の成長よりも「とにかく高い配当金を再投資し続けたい」投資家に選ばれています。
- ベライゾン・コミュニケーションズ (VZ)
- 米国最大級の通信インフラを保有。スマートフォンの通信料金という安定したストック型ビジネスが配当の原動力です。
- 5G設備投資のピークを越え、キャッシュフローに余裕が出てきたことで、2026年も高利回りを維持しています。
- 株価の動きは緩やかですが、5%を超える利回りは、債券に近い感覚で安定した現金収入を得るのに適しています。
- ファイザー (PFE)
- コロナ特需後の業績調整を経て、現在は癌治療薬や免疫疾患薬などの新薬群で収益を再構築しているバリュー銘柄です。
- 配当支払いを経営の優先事項としており、製薬セクターの中でもトップクラスの高利回りが魅力となっています。
- 340四半期以上(80年以上)連続で配当を支払っており、歴史的な配当実績への信頼感は揺らいでいません。
- アッヴィ (ABBV)
- 主力薬「ヒュミラ」の特許切れを「リンヴォック」や「スキリージ」といった新薬の急成長でカバーし、成長と配当を両立しています。
- スピンオフ前から数えて50年以上の増配実績があり、バイオ医薬品株でありながら安定した増配期待が持てます。
- 2026年時点でも増配率が比較的高く、将来の受け取り配当金を増やしたい「配当成長」狙いの投資家に人気です。
3. その他、特色ある高配当銘柄
- リアルティ・インカム (O)
- 「The Monthly Dividend Company(毎月配当を出す会社)」を掲げ、30年以上増配を続ける不動産投資信託(REIT)です。
- セブン-イレブンやウォルグリーンなど、倒産リスクの低い大手テナントとの長期契約により、空室リスクを抑えています。
- 毎月分配金が入るため、日本の投資信託の代替として、資産を取り崩しながら生活したい層に最適な銘柄です。
- シェブロン (CVX)
- エネルギーセクターの中でもトップクラスの財務体質を持ち、原油価格に左右されずに35年以上増配を続けています。
- 2026年は地政学リスクによる原油価格の高騰を背景に収益が拡大しており、増配だけでなく自社株買いも加速しています。
- インフレ対策としての側面も強く、物価上昇時にポートフォリオの価値を守る役割が期待できます。
- ブラックストーン (BX)
- 世界最大のオルタナティブ資産運用会社。不動産やプライベート・エクイティなどから得られる巨額の手数料が配当の原資です。
- 固定配当ではなく業績連動の側面がありますが、預かり資産(AUM)の拡大に伴い、2026年も高い分配実績を誇ります。
- 成長性が高く、配当利回りだけでなく「株価の上昇による利益」も同時に狙いたい欲張りな投資家に向いています。
| ティッカー | 社名 | 配当利回り (目安) | 売上高 (年間) | 純利益 (年間) | 純利益率 |
| KO | コカ・コーラ | 約3.1% | 約460億ドル | 約107億ドル | 23.3% |
| PG | P&G | 約2.4% | 約840億ドル | 約149億ドル | 17.7% |
| JNJ | ジョンソン&ジョンソン | 約3.0% | 約850億ドル | 約133億ドル | 15.6% |
| MO | アルトリア・グループ | 約8.2% | 約240億ドル | 約81億ドル | 33.8% |
| VZ | ベライゾン | 約6.5% | 約1,340億ドル | 約116億ドル | 8.7% |
| PFE | ファイザー | 約5.8% | 約590億ドル | 約21億ドル | 3.6% |
| ABBV | アッヴィ | 約3.4% | 約540億ドル | 約48億ドル | 8.9% |
| O | リアルティ・インカム | 約5.6% | 約41億ドル | 約9億ドル | 22.0% |
| CVX | シェブロン | 約4.2% | 約2,000億ドル | 約213億ドル | 10.7% |
| BX | ブラックストーン | 約3.2% | 約100億ドル | 約24億ドル | 24.0% |
自社株買いも配当
投資家の間では、配当と自社株買いを合わせて「総還元(Total Shareholder Return)」と呼ぶことが一般的で、実質的にはどちらも株主への利益還元という同じ目的を持っています。
ただ、その「仕組み」と「メリット」にはいくつか重要な違いがあります。
1. 自社株買いが「配当」と同じ意味を持つ理由
自社株買いが行われると、市場に流通する発行済株式総数が減ります。その結果、以下のメカニズムで株主に利益が還元されます。
- 1株当たり利益(EPS)の向上: 会社の利益が同じでも、分母(株主数)が減るため、EPS = {Net Income}/{Shares Outstanding}の計算式において数値が上昇します。
- 株価の上昇圧力: 1株あたりの価値が高まるため、理論上は株価が上昇します。これは「含み益」という形での還元になります。
- 持ち分比率の向上: 追加投資をしなくても、自分が保有する株の「会社に対する支配権(所有比率)」が相対的にアップします。
2. 配当と比較した時の「自社株買い」のメリット
株主にとって、直接現金を受け取る配当よりも有利な点がいくつかあります。
- 税制面での効率性: 配当金を受け取るとその時点で約20%の税金がかかりますが、自社株買いによる株価上昇は、売却するまで課税されません。 つまり、税金を払わずに再投資しているのと同じ効果(複利効果)が得られます。
- 柔軟性: 配当を一度出すと「減配」はネガティブサプライズになりますが、自社株買いは「枠」を設定して状況に応じて実施できるため、企業側が機動的に行いやすいという側面があります。
3. 投資家としての視点
米国株、特に成長性の高いテック企業(AppleやGoogleなど)は、配当よりも自社株買いを好む傾向があります。これは、成長を維持しながら効率よく株価を押し上げるためです。
一方、日本の投資家や一部の米国株投資家が「配当」を好むのは、「確定した現金(キャッシュ)」が手元に入るという心理的・実用的な安心感があるからです。
自社株買いは「目に見えない配当」のようなものです。キャッシュが今すぐ欲しいなら「配当」、税率を抑えて長期的な資産価値の増大を狙うなら「自社株買い」を積極的に行う銘柄が有利と言えます。
最近は日本企業でも「配当性向」だけでなく、自社株買いを含めた「総還元性向」を目標に掲げる企業が増えていますね。
配当利回りだけでなく、その企業がどのくらい自社株買いに積極的か(買い入れ枠の発表など)をチェックしてみるのも、面白い投資判断の基準になると思います。
投資にあたっての注意点
- 配当利回りだけで選ばない: 利回りが異常に高い場合、株価の下落や減配(配当を減らすこと)のリスクが隠れていることがあります。
- 為替リスク: 米国株はドル建てのため、円高になると円ベースでの資産価値や配当金が目減りします。
- 外国税: 米国株の配当には現地で10%の税金がかかります(確定申告の「外国税額控除」で一定額を取り戻せる場合があります)。
